NTTは10月20日、大規模言語モデル(LLM)の「tsuzumi 2」(ツヅミ ツー)の提供を開始した。
tsuzumi 2は、2023年11月に発表した「tsuzumi」の後継版だ。先代の特徴は継承しつつ、日本語性能の向上などを実現している。
10月20日に開催された発表会の内容に基づき、tsuzumi 2の特徴や、NTTのAI事業の状況を解説する。
金融・医療・公共分野の知識を強化
tsuzumi 2の日本語性能について、NTT執行役員の木下真吾氏は「同じサイズ帯のモデルと比べて、世界トップクラスの日本語性能を実現した」と話す。
また、要望が多かったという専門分野の知識強化も特徴だ。特に、金融・医療・公共分野の知識を強化している。
その結果、前出のような分野において、企業がLLMをカスタマイズする際に必要な学習データの量が減った。
例えばファイナンシャル・プランニング 技能検定2級の試験の合格ラインに達するのに、グーグルの「Gemma-2 27B」は1900問の追加学習を要する。一方で、tsuzumi 2はその約10分の1の200問で済んだという。
発表会ではtsuzumi 2の動作デモも実施。例えば、企業が出すニュースリリースの改善点をリスト形式で出すタスクでは、OpenAIの「gpt-oss-20b」が指示を守らず表形式で出力した一方、tsuzumi 2はリスト形式で出力。出力速度が速く、原文の情報を維持したことをアピールした。
また、tsuzumi 2に契約書案を入れると、同時に入れたチェックリストと突き合わせ、条項の過不足や問題点を表形式で表示した。表記揺れや大文字・小文字の統一といった細かな点までカバーした改善案を出す様子も示した。
生成AI関連の受注は海外のほうが多いNTT
NTTによると、同社の生成AI関連の受注金額は2024年度が436億円。しかし、2025年度第1四半期の3カ月間だけで670億円を受注し、2025年度全体では1500億円の受注となる見通しだ。また、2027年度には5000億円以上の受注を見込んでいる。
2025年度第1四半期の受注件数の内訳は、国内が521件、海外が約1300件と、海外のほうが多い。NTT常務取締役の大西佐知子氏は、「海外ではAIのニーズが顕在化している企業が多い」と分析する。
すでにドイツのBMWや複数の銀行、ラスベガスのカジノ運営会社などがNTTのソリューションを導入しているという。
国内と海外を合わせて多くの受注を獲得しているNTTの生成AI関連事業だが、tsuzumiシリーズの受注が占める割合はまだ少ないようだ。