
7月も半ばに入り、猛暑が続いている。日中の溶けるような日差しも困りものだが、日没後の熱帯夜もなかなかにしんどい。しかし、過度な冷房による体の不調も同時に報告されている。ウェルネスブランド「mariness」が行った「夏の暑さと睡眠の質」に関する意識調査によると、7割以上の人が「エアコンをつけっぱなしで寝たときに出た症状がある」と回答。具体的には『朝起きたとき体がだるい(26.5%)』『喉が乾燥する(22.5%)』『手足が冷える(19.9%)』といった症状が上位に挙がっているようだ。日中の活動による夏バテに加え、冷えすぎによる体調不良も解決したいところ。この夏の睡眠を快適にするテクニックをチェックしていこう。
「深部体温」と「皮膚体温」の関係性

睡眠の質には、“体温のコントロール”が大きく関わっている。人間の体温は、体の内部の「深部体温」と、皮膚表面の「皮膚体温」に分けることができる。この2つの体温差が小さいほど、睡眠の質が高まりやすい。しかし、寝ている間にかく汗が気化すると、皮膚体温が過剰に下がり、深部体温と皮膚体温のバランスが崩れてしまう。さらに冷房の風が直接肌に当たると、さらに皮膚体温が低下。先述した起床時のだるさや喉の乾燥、手足の冷えといった不調を起こす原因となってしまうのだ。
睡眠の質を高める2つのポイント
では、エアコンを使いつつ皮膚体温を守って質の良い睡眠を得るためには、どのような工夫をすればよいのだろうか。睡眠環境プランナーの小林麻利子氏によると、睡眠前に行う2つのポイントが重要だという。さっそくチェックしていこう。
①室温・湿度の管理

快適な睡眠のためには、まず「室温・湿度の見える化」が重要だ。エアコンの設定温度ではなく、「温湿度計を用いて室温26℃・湿度50%を保つこと」が理想的とのこと。エアコンは26℃設定・風量自動・風向き固定をベースにして室温を保ちつつ、実際の室温とのズレを可視化できるよう環境づくりをしていくとよいだろう。
②寝具・パジャマの見直し

また、寝具・パジャマ選びも見直しポイント。ノースリーブよりも汗を吸収・放出してくれる薄手の長袖パジャマの方が熱がこもりにくく、より快適な睡眠に繋がりやすい。先述した調査では、就寝時の服装について質問したところ、約7割が「半袖短パンなどの涼しい部屋着」と回答。暑さのため、ついつい薄着で生活してしまいがちだが、就寝時には肌を冷やしすぎない服装でいるのことも重要だ。接触冷感素材も人気だが、肌に直接当たると冷えすぎや汗ムレにつながることも。冷感シーツにはバスタオルを1枚挟むことで、冷感がやわらぎ快眠につながるとのことだ。
また、「扇風機の風は直接体に当てず、天井に向けて空気を循環させる」などの工夫も、睡眠の質を高めることができる。水分補給においても、冷えた水ではなく常温の水をコップ1杯分ほど睡眠前に取っておくと、冷えすぎによる体温調節機能の低下や中途覚醒を防いでくれる。
暑さにより体調を崩しやすいこの頃。日中での活動に支障をきたさないためにも、当たり前だと思っている睡眠環境を見直してみるのが良さそうだ。