レバノン料理といえば、色鮮やかな前菜が豊富ですが、その中でも特に人気が高いのがタブーリサラダです。フレッシュなパセリとさっぱりとしたクスクスが織りなす絶妙なハーモニーは、一度食べるとやみつきになる美味しさです。日本でも手に入りやすい食材で作れるのも、この料理の魅力の一つと言えるでしょう。
タブーリサラダの伝統的な材料といえば、トマト、玉ねぎ、レモン汁、オリーブオイル、そして何よりたっぷりのパセリが特徴です。本場レバノンでは、クスクスではなくブルグル（粗挽き小麦）を使うことが多いのですが、日本では手軽なクスクスでアレンジされることも多くなっています。このアレンジによって、より軽やかな食感と親しみやすい味わいが生まれます。
パセリは地中海料理に欠かせないハーブの一つです。タブーリは、そのパセリの香りを余すことなく活かす料理として有名で、一般的なサラダよりもずっと多くのパセリを使うことがポイントです。パセリを丁寧にみじん切りにすることで、苦味が和らぎ、鮮やかな緑色が一層引き立ちます。また、切る直前に冷水にさらしておくと、香りと食感がより鮮明に残ります。
パセリにはビタミンCやビタミンKが豊富に含まれており、免疫力を高めたり美容効果が期待できるのも嬉しいところです。見た目の美しさだけでなく、健康にも大きなメリットがあるタブーリは、まさに“食べるサプリメント”のような存在です。
もう一方の主役、クスクスは北アフリカ発祥のデュラム小麦から作られるパスタの一種です。日本ではまだ一般的とは言いがたいものの、最近は輸入食材店やスーパーマーケットなどでも手軽に手に入るようになりました。クスクスはわずか5分ほど熱湯で戻すだけでふっくらと仕上がり、忙しい現代人にもぴったりです。
クスクスの魅力は、主張しすぎない味と、どんな調味料や具材にもなじむ吸収力にあります。パセリやトマト、レモン汁のさっぱりとした風味がしっかり絡み合い、軽やかな食感を楽しむことができます。実際、タブーリサラダで使う場合はクスクスの量を控えめにし、パセリと野菜が主役になるように工夫しましょう。
タブーリサラダを香り高く仕上げる最大のコツは、パセリとクスクスの使い方にあります。まず、使用するパセリはイタリアンパセリでも良いですが、より清涼感の強い日本の一般的なパセリを使っても十分美味しくできます。茎はできる限り取り除き、葉の部分だけをたっぷり刻むのがポイントです。
クスクスは戻しすぎず、軽やかに仕上げることが大切です。ふんわりと空気を含ませながら混ぜることで、食感がよくなります。サラダとしてなじませるため、下味は塩、こしょう、レモン汁、オリーブオイルを丁寧に混ぜ込むのが成功の秘訣です。
タブーリには定番のトマトや玉ねぎの他に、きゅうりやミント、ディルなどを加えても美味しくアレンジできます。特にミントは、パセリと並んでタブーリを香り高くする役割を持っています。ミントを加えると、より爽快感が引き立ち、食欲がない時でもさらりと食べられる一品に仕上がります。
本場のタブーリは時間をかけて味をなじませることで、各素材の美味しさが一体となった深みのある味わいが生まれます。作ってすぐに食べても良いですが、冷蔵庫で1時間ほど寝かせると、さらに風味豊かなサラダに仕上がるのでぜひ試してみてください。
このサラダは肉や魚のグリル、カレーなどエスニック料理の付け合わせにも最適です。また、パンやピタと一緒にサンドイッチにするなど、食べ方の幅も広がります。お弁当や持ち寄りのパーティーシーンでも大活躍することでしょう。
暑い季節には、レモン汁を多めにしてすっきり感を出したり、冬場にはオリーブオイルの分量を多めにしてコクを増すなど、季節やお好みに合わせてアレンジできるのもタブーリならではの魅力です。
野菜本来の美味しさとハーブの香りを手軽に楽しめるタブーリサラダは、日本の食卓でも新しい風を吹き込んでくれます。身近な材料でエキゾチックな味わいを楽しみながら、パセリやクスクスの奥深い魅力を再発見してみてはいかがでしょうか。