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宇宙

世界最大の海流“サーモハライン循環”と地球環境への影響

KaiK.ai
29/10/2025 10:16:00

地球上に存在する最大の海流、それが「サーモハライン循環」と呼ばれるものです。この難解な名前は、“温度(サーモ)”と“塩分(ハライン)”に基づく「巨大な海の流れ」のことを指します。地球をまるでベルトコンベアーのようにぐるりと循環しており、私たちが想像するよりはるかに大規模な自然現象です。

このサーモハライン循環は全海洋の約90%を移動するため、「グローバル・コンベヤーベルト(大循環ベルト)」という別名でも呼ばれています。始まりは北大西洋のグリーンランド沖や北極海付近。ここでは海水が冷やされて塩分濃度が高くなり、重くなった海水は沈み込んでいきます。沈んだ海水は大西洋の深部へ流れこみ、南極大陸の周囲を回ってインド洋や太平洋深部へと進んでいきます。

サーモハライン循環が持つ役割は驚くほど多岐にわたります。まず、地球全体の気候を調節する重要な役割があります。たとえば、ヨーロッパの温暖な気候は、この循環が暖かいメキシコ湾流を北大西洋へ運ぶおかげで実現されています。もしサーモハライン循環が止まれば、ヨーロッパは今よりはるかに寒くなると言われています。

また、サーモハライン循環は世界中の海の生き物にも大きな影響を及ぼしています。深い海から栄養分を含んだ海水を浅瀬へ運び、そのおかげで豊かな漁場や生態系が形成されるのです。反対に、循環が弱くなると生態系のバランスが崩れ、世界各地の漁業にも影響が出てしまいます。

この循環がどのように作られるのかというと、海水の温度差と塩分濃度の差による密度変化によって発生します。例えば北極圏で冷たい空気にさらされた海水はどんどん冷えて、海氷が形成されるときに塩分が押し出され、塩分濃度がさらに高くなります。これにより海水は重くなり、深海へと沈み込んでいきます。

ここで興味深い事実のひとつは、サーモハライン循環が進む速度は非常に遅いことです。水の分子一つが北大西洋から太平洋まで巡るのに、およそ1000年もかかると言われています。このスケールの大きさは、私たちの日常の感覚とはかなり異なりますね。

さらに、現在進行している気候変動がこのサーモハライン循環に与える影響は非常に深刻です。地球温暖化によって北極やグリーンランドの氷が急速に溶け出し、大量の真水が北大西洋に流れ込むことで、塩分濃度が低下し、海水が沈みにくくなります。これが循環の鈍化や停止を招く可能性があるのです。

もしサーモハライン循環が弱まった場合、地球規模でどのような影響が出るのでしょうか。一つは、気候の不安定化です。特定の地域では干ばつや大雨、極端な気象現象が頻発するようになります。また、熱帯地方から極地へ運ばれていた熱エネルギーが滞るため、地球全体の気温バランスが大きく崩れてしまいます。

日本にもこの循環の影響が現れる可能性は十分にあります。たとえば、太平洋側での漁業資源への影響や、異常気象の増加。また、台風や長雨といった現象もサーモハライン循環の変化によって変わることが予想されています。地球のどこかで起きた変化が、遠い日本にも伝わってくるのです。

興味深い点として、過去の地球の気候変動の中にも、サーモハライン循環の停止や急激な弱体化と関連しているものが見つかっています。約1万2000年前の「ヤンガー・ドリアス期」という急激な寒冷化現象も、北大西洋で大量の淡水が流入したことがきっかけだと言われています。

それほどまでに、サーモハライン循環は地球の気候や生態系を左右し、人類の歴史と密接に関わっています。しかしこの大循環の存在は、私たちの日常生活ではほとんど意識されることがありません。

今後、地球温暖化が進み続ければこの循環はますます不安定になり、予想もしなかった形で地球環境に変化をもたらすかもしれません。私たち一人ひとりが、地球を守る意識を持つことが大切です。

サーモハライン循環は、宇宙全体から見ると小さな地球の「生命維持装置」ともいえます。気候や生態系のバランスを見えないところで支え続けているこの自然現象に、もっと関心を持ってみてはいかがでしょうか。

提供元 KaiK.ai