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宇宙

宇宙で最も遠い光とは?何十億年も届く神秘の物語

KaiK.ai
22/07/2025 11:37:00

私たちが暮らす宇宙は、とても広大で謎に満ちています。そのなかでも「宇宙で最も遠い光」という言葉が示すものは、いったい何なのでしょうか。星や銀河、そして遥か昔の出来事を映し出すその光の正体には、宇宙誕生の秘密も隠されています。

宇宙に存在するどの光も、必ずどこかの「始まり」から発せられたものです。私たちの目に届く時間は、距離によって変わります。たとえば月から届く光は、約1.3秒前に出発したものです。一方、太陽の光でさえ約8分前のもの。これをさらにスケールアップして考えると、数十億年もの昔から届く光があっても不思議ではありません。

ここで登場するのが、「最も遠い光」と呼ばれる現象です。多くの天文学者が追い求めてきたその光は、ビッグバンの直後、宇宙が生まれたばかりの時代に発せられた可能性もあります。遠い銀河からの光は、私たちが見る過去そのもの。つまり、光とは宇宙の物語を伝えるメッセンジャーなのです。

とくに「宇宙背景放射(コズミック・マイクロウェーブ・バックグラウンド)」と呼ばれる光は、最も古い光のひとつ。これは今から約138億年前、ビッグバンから約38万年後に放たれたものとされています。この光が現在でも地球に届いていることは驚きです。

この宇宙背景放射を捉えることによって、私たちは宇宙誕生直後の姿を知ることができるようになりました。最初にこの光を発見したのは、1965年、アーノ・ペンジアスとロバート・ウィルソンという二人の科学者でした。当時、この微弱な電波を検出したことで、ビッグバン理論は一気に有力説となりました。

一方で、「最も遠い銀河」や「最遠の星」から届く可視光線も、驚くべき発見の源になっています。ハッブル宇宙望遠鏡やジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡といった最先端の観測装置を使うことで、私たちは今まで見たこともない遠い銀河の姿を目撃することができます。それぞれの光が地球まで届くのに、何十億年もの年月がかかるのです。

2022年、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した画像には、今までで一番遠くにある銀河の姿も記録されていました。この銀河は「GN-z11」と呼ばれ、私たちからおよそ134億光年も離れていると推測されています。その光が出発した頃、宇宙はまだ10億年も経っていませんでした。

さらに近年では、「最遠の星」の観測にも成功しています。2022年発表の「エアレンデル」と名付けられた恒星は、私たちから約128億光年先に位置しています。その光も、地球に届くまで128億年というとてつもない時間を旅してきました。

このような光をキャッチすることで、天文学者たちは「初期宇宙」に何が起きていたかを調べています。そこからは、星や銀河がどのように誕生し、進化していったのかという貴重な手がかりが得られるのです。

宇宙は膨張し続けています。その結果、遠くから届く光は「赤方偏移」と呼ばれる現象を起こし、波長が長くなります。遠い過去の光ほど、この赤方偏移は大きく、観測装置の精度や技術の進歩がなければ捉えることはできません。

この神秘的な光を追いかける背景には、ひとつの根本的な疑問があります。それは、宇宙はいかにして始まったのか、そして私たちはどこから来たのかという問いです。天文学は、光というタイムカプセルを通して、過去との対話を続けています。

最も遠い光を見つけようとする科学者の努力のおかげで、私たちが知る宇宙の端は、年々広がり続けています。かすかな輝きにも、遥か昔のドラマや出来事が秘められているのです。

また、光そのものが持つ「速度の限界」も、宇宙観測において興味深いポイントです。現在の物理法則では、光速を超えるスピードは存在しないとされています。だからこそ、遠い過去の光を観測することは、同時に過去への窓を開くことに他なりません。

私たちが夜空を見上げるとき、星々は何万光年、何億光年の旅を経て、ようやく地球に届いています。その光こそが、宇宙が歩んできた歴史そのもの。こう考えると、宇宙で最も遠い光にロマンを感じずにはいられません。

宇宙の果てから届く光は、今、この瞬間も地球にやってきています。どれだけの長い旅路の果てなのか、想像するだけでもワクワクします。見えない向こう側には、まだ知らぬ物語が広がっているのかもしれません。

未来の技術が進むほど、さらに遠い光、そしてもっと始まりに近い神秘に迫ることができるでしょう。宇宙の「最も遠い光」は、今なお私たちへの大きな問いを投げかけ続けています。

提供元 KaiK.ai