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技術

ドローンタクシーが空を飛ぶ日、欧米や中東で進む画期的な輸送技術の現在

KaiK.ai
09/06/2025 11:14:00

ドローンタクシーが現実のものとして空を飛ぶ姿は、今やSF映画だけの世界ではありません。欧米や中東諸国を中心に、この画期的な輸送技術の社会実装が急速に進んでいます。世界の都市を変えようとしている空飛ぶタクシーの現在地を探ってみましょう。

空飛ぶタクシーの正式名称は「eVTOL」と呼ばれることが多く、これは「electric Vertical Take-Off and Landing aircraft」の略です。直訳すると「電動垂直離着陸機」となります。その名の通り、滑走路を必要とせず、電気の力で垂直に離着陸できる点が特徴的です。従来のヘリコプターに似ていますが、大きな違いは“完全自動運転”または“遠隔操縦”が可能という点と、環境に優しいゼロエミッション設計が基本となっている部分です。

アメリカでは、シリコンバレーの「ジョビー・アビエーション」や「アーチャー・アビエーション」などのスタートアップが、すでに実用サイズのeVTOL機を開発し、テスト飛行を繰り返しています。特にジョビー・アビエーションは、空港から都市中心部への輸送を想定したサービスを2025年以降に開始予定です。試験飛行の様子や開発状況は多くのメディアで公開されており、空飛ぶタクシーが日常になる日はそう遠くありません。

ヨーロッパではドイツ発の「ボロコプター」が先行しています。同社のeVTOL機は2021年にドバイで初の有人飛行に成功。現在はドイツ、スペイン、イタリアなど複数の都市で都市型エアモビリティの実証実験を進めています。ヨーロッパ連合は、空の交通インフラ整備のガイドラインを策定するなど、官民連携で空飛ぶタクシーの普及に力を入れています。

中東に目を向けると、ドバイが積極的です。2023年にはボロコプター社と提携し、空港─市内間を結ぶドローンタクシーの運行計画を本格化させました。ドバイ政府は2030年までに都市の主要交通手段の25%を自動運転型・ドローン式のものにする目標を掲げています。石油依存経済からの脱却を目指す戦略的な取り組みの一環といえるでしょう。

気になる航続距離や速度ですが、現時点で多くのeVTOL機は1回の充電で約30〜100kmほど、時速100〜200km程度で飛行できます。例えば、都市中心部から空港までの移動であれば、渋滞知らずで10分程度で到着するケースも多いようです。二酸化炭素排出ゼロで、しかも静音性に優れることから、都市部でも騒音問題を最小限にできます。

安全性に関しては、各国の航空局が従来のヘリコプターや旅客機並みの厳格な認証制度を適用する方向です。eVTOL機はエンジンではなく電気モーター複数基で制御されているため、一部が故障しても飛行継続が可能な設計になっています。また、降下中にバッテリーが切れても、安全着地できる機構を備えた機体も多いです。

もう一つ注目すべき点は「インフラ整備」です。ビルの屋上や駐車場跡地などを再活用した「バーティポート」と呼ばれる発着場の設置も進行中です。スマートフォンアプリを使って予約や決済を行い、到着したらすぐ乗り込めるという新しい移動体験がすぐそこまで来ています。

利用料金の予想も気になるところですが、現段階では高級タクシー並みからヘリコプターよりも手頃になるという推計が出ています。コスト削減の要素は、パイロット不要化やエネルギーコストの低下です。大量生産体制が整えば、将来的に一般大衆向けの価格帯に近付くとも予想されています。

環境面のメリットは世界各都市にとって魅力的です。自動車に代わる移動手段として空の交通が普及すれば、渋滞緩和、大気汚染対策、移動時間短縮といった現代都市の課題解決に貢献できます。気候変動との闘いにも一石を投じる存在になるでしょう。

もちろん、日本国内でもその波は押し寄せ始めています。関西万博において、「空飛ぶクルマ」実証が予定されており、日本のメーカーやベンチャーも実用化を目指しています。国内法の整備や社会受容性など課題は多いものの、世界の潮流に後れを取るわけにはいきません。

技術的・規制的課題は残るものの “ドローンタクシー元年” とも呼べる現代。未来の都市上空には、配車アプリで呼んだタクシーが舞い降りる光景が現実となりそうです。近い将来、移動の常識が塗り替えられる日もそう遠くないかもしれません。

各国の取り組みや実証実験は、テレビやネットで容易に情報入手できます。今後もドローンタクシー関連の最新動向から目が離せません。空への移動体験が、あなたを待っています。

提供元 KaiK.ai