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旅行

ニュージーランド・オアマル白亜のビクトリアン建築が並ぶ港町の風景

KaiK.ai
24/10/2025 11:53:00

ニュージーランド南島の東海岸、オタゴ地方の北端に位置する港町オアマルは、日本人にはあまり馴染みがないかもしれません。しかし、この町に一歩足を踏み入れると、まるで19世紀のヨーロッパにタイムスリップしたかのような独特の雰囲気を味わうことができます。その理由は、オアマル独自の「白亜のビクトリアン建築」という魅力あふれる街並みです。

オアマルの歴史は、19世紀半ばのゴールドラッシュと密接に結びついています。当時、多くの入植者がオタゴ地方に押し寄せ、発展したこの町は、経済と文化の発信地となりました。その繁栄を今に伝えているのが、オアマルに数多く残されている白亜色のビクトリアン建築群です。

この建築の特徴は、「オアマル・ストーン」と呼ばれる白い石灰岩を用いている点にあります。オアマル近郊の採石場から産出され、柔らかく彫刻もしやすいため、その美しい彫刻や装飾が目を引きます。1870年代から1900年代初頭にかけて建てられた銀行、郵便局、商館などは、今も現役で使われており、町全体が保存地区として当時の面影を色濃く残しています。

町の中心部には、歴史的なビクトリアン建築が並ぶ「ビクトリアン・プレシンクト」というエリアがあります。石畳のストリートには、古い建物を利用したカフェやギャラリー、アンティークショップが立ち並び、訪れる人々はまるで19世紀に迷い込んだかのような錯覚を覚えます。ここでは、地元アーティストが制作したクラフトやアート作品にも出会うことができ、日本とは違ったアートの世界を堪能できます。

印象的なのは、建物だけでなく、町全体が「ビクトリアン」の文化を大切にしていることです。毎年11月に開かれる「オアマル・ビクトリアン・フェスティバル」では、町の人々が当時の衣装に身を包み、パレードや演劇、バイク競争など多彩な催しが開催されます。観光客も一緒に参加できるため、ビクトリア時代の空気を肌で感じられる貴重な体験となります。

オアマルの白亜建築は、路地や細い道にも残っています。写真愛好家や歴史好きな旅行者には、時間を忘れて散策できる魅惑的なエリアです。特に夕暮れ時、柔らかな光が白亜の壁に当たると、町全体がほんのりとした金色に包まれ、幻想的な雰囲気を醸し出します。この瞬間を写真に収めようと、多くの観光客がカメラを手に歩き回っています。

ビクトリアン建築の中には、かつて倉庫や工場として使われていたものをリノベーションした施設も多く見られます。代表的なものとして「スチームパンク本部(Steampunk HQ)」があります。ここは、スチームパンク文化を体感できるちょっと変わったミュージアムで、19世紀の産業革命や未来的なガジェットが融合した不思議な世界観が広がっています。廃材を使ったアート作品や、古びた機械が展示されており、大人でも子供でも楽しめる人気スポットです。

また、ビクトリアン建築が立ち並ぶ港周辺には、新鮮な魚介料理を楽しめるレストランやカフェも多く点在しています。白壁の建物に囲まれながら、地元のクラフトビールやワインを味わう時間は、オアマルならではの贅沢です。また、カフェの窓からは、静かな港の風景や、時折訪れるブルーペンギンの姿を眺めることもでき、可愛らしい姿に癒される旅行者も少なくありません。

町の中には無料で入れるギャラリーや、公園、図書館などもあり、地元の生活を身近に感じられるのもオアマルの魅力のひとつです。観光地化され過ぎていない、落ち着いた雰囲気が流れているため、長期滞在にも向いています。旅行者向けの自転車レンタルサービスも充実しており、ビクトリアン建築を巡るサイクリングも人気です。

オアマルを象徴する風景といえば、町の背後に広がる緑の丘と、港に浮かぶ漁船、そして白亜の建物群が織りなすパノラマです。港町ならではのゆったりとした時間と、歴史が息づく街並みのコントラストに、心がほっと和むことでしょう。

ニュージーランドに数多く残るビクトリアン建築の中でも、オアマルのように町全体の調和が取れた景観は非常に珍しいものです。近隣のダニーデンやクライストチャーチへ向かう途中に立ち寄るにもぴったりな場所で、訪れる価値は十分にあります。

まとめると、オアマルはニュージーランドの知られざる小さな宝石のような港町です。白亜の石造りのビクトリアン建築が放つ異国情緒あふれる景色は、旅の思い出として心に深く刻み込まれることでしょう。忙しい日常を離れ、優雅な時間を過ごしたい方には特におすすめしたい旅行先です。

提供元 KaiK.ai