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旅行

インド・ジャイプールの風の宮殿とピンクシティの幻想都市

KaiK.ai
29/09/2025 11:52:00

インド北西部に位置するラージャスターン州。その州都ジャイプールは、幻想的な雰囲気と壮麗な建築で観光客を魅了し続けています。なかでも「ピンクシティ」と呼ばれるこの街は、独特の歴史と文化が息づいた場所。ジャイプールを象徴する名所と言えば、風の宮殿「ハワー・マハル」と呼ばれる美しい建物です。

ジャイプールが「ピンクシティ」と呼ばれる理由には面白いエピソードがあります。1876年にイギリス皇太子アルバートがインドを訪問するのを機に、当時のマハラジャが街の建物をピンク色に塗り替えました。ピンクは歓迎とおもてなしのシンボル。以来、街全体がサーモンピンクに統一され、その幻想的な色彩が現代まで大切に守られています。

ジャイプールの市内を歩くと、ピンク一色の建築がどこまでも続きます。王宮や城壁、市場の建物までもがピンク色で統一されていて、夕暮れ時にはさらに神秘的な輝きを放ちます。そんなピンクシティの中心部にそびえるのが、風の宮殿「ハワー・マハル」です。

ハワー・マハルは1799年にサワイ・プラタープ・シング王によって建てられました。その特徴は、何と言っても蜂の巣のような外観にあります。ピンク色の砂岩を積み重ねて作られた正面には、953もの小窓が配置されており、まるでレース細工のような繊細な美しさを放っています。

この無数の小窓、実は王宮内の女性たちが外の喧騒やお祭りを見物できるように考案されました。インドの伝統である「プルダ」と呼ばれる風習により、上流階級の女性たちは直接外で人混みに混ざることができませんでした。しかし、この小窓を通して街の様子をこっそり観察できたのです。

小窓は単なる装飾だけでなく、実用的な役割も持っていました。ジャイプールは砂漠気候で夏の気温は40度を超えることも。しかし、この宮殿は窓から風が通り抜ける造りになっており、内部は驚くほど涼しく保たれます。ハワー・マハルの名も、ヒンディー語で「風の宮殿」を意味しています。

外観の美しさもさることながら、建物内部も見どころです。宮殿内は迷路のような狭い通路や石造りの階段が張り巡らされていて、探検している気分になります。天井や壁には、美しい装飾と色鮮やかなステンドグラスも施されており、窓から差し込む光が幻想的な雰囲気を生み出します。

ハワー・マハルは、実は表面の幅は広いものの、建物の奥行はかなり浅い造りになっています。そのため表の正面は壮大に見えますが、中に入ると細長く繊細な空間であることがわかります。この独特の設計も、宮殿内に心地良い風を送り込むための工夫だといわれています。

歴史好きの人には、ジャイプールの街自体が魅力的な場所です。王公貴族の時代から栄えてきたこの街には、アンベール城やシティ・パレスなど、他にも歴史的な建造物が点在しています。伝統的な工芸品やジュエリー、色鮮やかな布製品などを扱うバザールも立ち並び、毎日多くの人で賑わっています。

ジャイプールは現代インドでも有数の観光都市として知られていますが、歴史的な街並みと現代的な賑わいが不思議と調和しています。庶民の暮らしと王侯貴族の栄華が共存する幻想都市。その中心に立つ風の宮殿は、時代を超えて人々を魅了し続けているのです。

もしジャイプールを訪れる機会があれば、ぜひ朝の静けさや夕暮れの光に包まれた風の宮殿の姿も堪能してください。またピンクシティの街並みを歩きながら、歴史とロマンの空気に包まれる体験は、今も昔も多くの旅人たちの心に残ることでしょう。

取材や写真撮影のスポットとしても抜群の魅力を持つジャイプール。ピンク色に染まる幻想的な都市と、美しき風の宮殿。一生に一度は訪れてみたいインドの名所です。

提供元 KaiK.ai