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宇宙

宇宙ゴミが地球と人類にもたらす意外なリスク

KaiK.ai
17/10/2025 12:39:00

地球を取り巻く宇宙は、私たちに無限の可能性とロマンを提供する一方、想像を超える新たな課題ももたらしています。そのひとつが「宇宙ゴミ」と呼ばれる存在です。普段の生活ではめったに意識することのない宇宙ゴミですが、実は地球や人類に驚くべきリスクを与えている事実をご存知でしょうか。

宇宙ゴミとは、人工衛星やロケットの打ち上げ後に残された不要な物体、運用を終えた衛星の残骸や分離装置、アンテナなどが含まれます。これらは地球の周りを秒速7~8kmというとてつもない速さで飛び回っているため、ほんの小さな断片でも大きな危険となるのです。

実際、2023年時点で地球を周回している宇宙ゴミは約1億3千万個にのぼると推定されています。その中で大きさが10cm以上のものは約2万3千個、1mm以上のものは1億個以上にもなるといわれています。これは地球の表面から夜空を見上げるだけでは実感できない、驚くべき規模です。

宇宙ゴミが人類の生活にどのようなリスクをもたらすのか、いくつか具体的に見ていきましょう。まず、最も直接的なリスクは、現役の人工衛星や宇宙ステーションへの衝突事故です。宇宙にある通信衛星や気象衛星、GPSなどは私たちの生活に欠かせないインフラとなっています。これらが宇宙ゴミと衝突すれば、通信の遮断や航行システムの麻痺、衛星サービスの停止など、多方面に甚大な影響を及ぼします。

特に国際宇宙ステーション(ISS)は、高度約400kmの低軌道上にあり、多くの宇宙ゴミが飛び交うリスクゾーンに位置しています。実際に過去には、ISSが宇宙ゴミを回避するために軌道を変更した事例が複数回報告されています。宇宙飛行士の安全確保が最優先されているのです。

さらに、宇宙ゴミが地球に落下することによるリスクも決してゼロではありません。大気圏に再突入したゴミは燃え尽きることが多いですが、サイズが大きい物体の場合、燃え尽きず地上に落下することもありえます。幸いにもこれまで人的被害はほとんど報告されていませんが、予測不能な事態につながる可能性は否定できません。

宇宙ゴミは地上から見えないため、ついその存在を忘れがちですが、実際には地球周辺の宇宙空間は年々ゴミで密度が増しています。特に中国が2007年に行った衛星破壊実験や、ロシアが2021年に行った同様の実験では、数千個規模の新たな宇宙ゴミが発生しました。こうした自国開発・実験の影響で、国際社会も宇宙ゴミ問題に本格的に向き合う必要性を強く認識し始めています。

今後、宇宙ビジネスの拡大により、民間企業による衛星打ち上げも急増しています。これによって、今後さらにゴミの量が爆発的に増加する可能性も指摘されています。打ち上げた衛星を適切に廃棄せず、使い終わったまま放置することで、軌道上の混雑と事故リスクがますます高まるのです。

では、宇宙ゴミの除去は可能なのでしょうか。現在、国際的な取り組みとして軌道上のゴミを回収する実証実験や、地球の大気圏に安全に再突入させる技術の開発が進行中です。日本でも、民間企業や大学がマグネットやネットを使った回収方法、レーザーで軌道を変える試みなどを行っています。しかし、膨大な数のゴミに対し現在の技術ではまだ根本的な解決には至っていないのが現状です。

宇宙ゴミ問題のもうひとつのリスクは、「ケスラーシンドローム」と呼ばれる現象の発生です。これは、宇宙ゴミ同士の衝突によって連鎖的にさらに多くのゴミが発生し、最終的に地球軌道がデブリで埋め尽くされ、人工衛星の打ち上げや宇宙活動自体が不可能になるというシナリオです。こうなると、地球上で享受している多くのサービスが損なわれるだけでなく、人類の宇宙進出にも大きなブレーキがかかります。

個人レベルでは解決が難しい宇宙ゴミ問題ですが、多くの国や企業が協力し合い、ルールや監視態勢を強化することが求められています。国際的な指針が設けられ、新しい衛星は使用後に自動で軌道から外れる仕組みや、再利用システムの開発も進められています。

宇宙のロマンを追い求める一方で、私たちは「人類が生み出した宇宙ゴミ」という現実にも目を向けなければなりません。今後も宇宙空間を安全かつ有効に活用するために、この見えないリスクに関心を持ち続けることがとても大切なのです。

提供元 KaiK.ai