イラン軍がホルムズ海峡を一時開放すると発表した同国のアラグチ外相に事実上警告性メッセージを出しイラン政府と軍部の不協和音が現れている。
アラグチ外相は17日、Xを通じて残る停戦期間中に商船に限ってイランが事前調整した航路に沿ってホルムズ海峡の通行を許容すると明らかにした。「事前調整航路」の制限条件がついたが、この発表直後に国際原油価格が急落するなど市場に大きな波紋を呼んだ。
◇軍部は反発…「革命防衛隊の許可受けなければ」
アラグチ外相の発表にイラン軍はすぐにブレーキをかけた。アラグチ外相が投稿した直後、匿名のイラン軍高位関係者は国営放送などを通じ「ホルムズ海峡を通過するには革命防衛隊海軍の許可を受けなくてはならず、敵と関連していない船舶でなければならない」と明らかにした。
これは事実上これまでと大きく変わらない厳格な統制条件を再確認したものと解釈される。
◇軍部性向メディア総攻勢…「トランプに名分与えた」
イラン強硬保守陣営と軍部性向メディアもアラグチ外相の発表を強く批判した。彼のXへの投稿が混乱を呼び起こし、トランプ米大統領に政治的名分を提供したという主張だ。
トランプ大統領はアラグチ外相の投稿直後に「ありがとう」とイランがホルムズ海峡を再封鎖しないという趣旨の発言とともに、濃縮ウラン問題まで取り上げた。これに対してイランは関連内容を否定して火消しに出る状況が起きた。
イランのファルス通信は「外相の予想できない投稿とその後に続いたトランプの焦った虚勢が同時に出てきてイラン社会は混乱の中に陥った」と批判した。
メフル通信も「外相の投稿後に戦争勝利を宣言し誇示しようとするトランプとメディアの接触が急激に増えた。トランプは戦争の最中である時に主張していなかったものまで自身の功績だとして掲げている」と指摘した。続けて「トランプが最も困っている部分がホルムズ海峡再開だった。追加説明が抜けた外相の投稿はトランプに『勝利者』を自任させ勝ちどきを上げられる最適な機会を提供してしまった」と指摘した。
◇イラン外務省は火消しに出たが結局再封鎖
批判が続くとイラン外務省は釈明に出た。イラン外務省報道官はホルムズ海峡開放決定に対し「外務省だけの決定ではなくイランの意志決定体系に基づいた決定で、8日の発表(停戦合意)の約束に従ったもの。相手が合意を破ればイランもそれに相応する必要な措置を取るだろう」と説明した。
米シンクタンクの戦争研究所は「イスラム革命防衛隊系メディアはアラグチ外相の投稿のためにトランプ大統領がホルムズ海峡に関する世論を主導する機会を与えたと批判した」と分析した。
結局イラン軍部は18日、米国の海上封鎖が続いているとしてホルムズ海峡を再び封鎖すると発表した。
◇「イラン政権内部の分裂反映」の解釈も
このように政府と軍部の異なるメッセージが続き、ハメネイ師の死亡後にイランの権力核心部で実際に亀裂が生じているのではないかとの見方も提起される。
戦争研究所は「イラン政権内部の広範囲な分裂を反映する。イラン国内のそれぞれ異なる派閥が協議案に対し立場が大きく相異する点を示唆している」と分析した。
これに対し米国との2度目の交渉の可能性が大きくなった状況でイランが意図的に強弱戦略を駆使しているという解釈も出ている。
交渉で核心的な武器となるホルムズ海峡をめぐり開放と封鎖を行き来しながら国際原油価格と世界経済に影響を与えることができるという点を印象づけて交渉力を高めようとする戦略と分析される。
◇議論のアラグチ外相、軍部に感謝メッセージ
一方、議論の中心に立たされたアラグチ外相は17日にテレグラムチャンネルにホルムズ海峡開放関連の投稿をしてからは特別なコメントを出していないが、18日の「イラン軍の日」に合わせ「親愛なるイラン軍アミール・ハタミ総司令官に」という投稿を通じ軍の犠牲に謝意を示した。