大阪・関西万博では、世界各国に加え、国内の自治体もパビリオン出展やイベント開催を通じ、観光客の誘致や伝統文化のPR活動を展開した。各自治体は、来場者の反応に手応えを感じつつ、閉幕以降も地元に波及効果を呼び込もうと意気込んでいる。
鳥取県は、関西広域連合の一員として「関西パビリオン」に常設ブースを設置し、鳥取砂丘の砂を床に敷き詰めた体験コーナーを展示。同様に砂漠の砂を踏んで体験できるヨルダン館との交流が話題になり、県庁幹部は「鳥取を知ってもらう手段としてはとても成功した」と喜ぶ。
県は閉幕後、ヨルダン側の承諾を得て、ヨルダン館の砂の一部を同県境港市の施設に運び、はだしで体感できるコーナーを開設する方針。万博人気にあやかり、観光客を鳥取に呼び込みたい考えだ。県幹部は「ヨルダンとの交流も続けていきたい」と強調する。
同じ関西パビリオンに出展した徳島県は8月末まで、徳島までの交通費を「片道500円」とする割引クーポンの配布キャンペーンを展開。約1万人がクーポンを活用して来県したという。閉幕後は県内周遊キャンペーンなどの第2弾を検討中で、「観光熱が高いうちに施策を打ち、リピーターを増やしたい」(県万博推進課)考えだ。
5月には、万博会場で北海道内外の200人以上によるアイヌ民族舞踊の公演も開かれた。道庁の担当者は「国内、海外に広く知れ渡る機会になった」と効果を実感する。
9月、会場内では、2027年3月から横浜市で開催予定の国際園芸博覧会(花博)のPR展示が行われた。多くの来場者でにぎわう様子を体感した花博担当者は「われわれも歓迎される博覧会にしなければ」と気を引き締めていた。
[時事通信社]