【ワシントンAFP=時事】ドナルド・トランプ米大統領の肖像をあしらった250ドル紙幣が、近く発行される可能性がある。トランプ氏は慣例を破り、国家機関・制度に個人の足跡を残そうと試みている。≪写真は米ホワイトハウスの閣議室で閣議に臨むドナルド・トランプ大統領≫
眼光の鋭いトランプ氏の肖像をあしらった250ドル紙幣の発行案については、28日に米紙ワシントン・ポストが最初に報じた。
実現すれば、約1世紀半ぶりに存命中の人物の肖像が米国の通貨に描かれることになる。
スコット・ベセント財務長官は28日の記者会見で、「現在、存命中の人物であるドナルド・J・トランプ氏を250ドル紙幣に描けるよう、第一の要件を変更する法案が下院および上院に提出されている」と明らかにした。
ベセント氏は「合衆国大統領、つまり現職大統領の肖像を、建国250年記念紙幣に採用することに何ら不都合はないと考えている」と主張。
財務省として法案が可決された場合に備えて事前準備は進めているが、あくまで「法律を順守する」と強調した。
ワシントン・ポストが入手した見本券には、1776年7月4日の米独立宣言にちなみ「アメリカ250周年」の文字が記されていた。
同紙によると、トランプ氏が任命した財務省の高官2人が昨年、製版印刷局(BEP)の職員に対し、見本券を準備するよう促し始めたという。
匿名を条件に同紙の取材に応じた製版印刷局の職員らは、存命中の大統領を米国の通貨に描くことを禁じる連邦法に違反することになるため、この計画に対して懸念が生じていたと語った。
財務省の報道官はAFPに対し、ブランドン・ビーチ財務官が議会による法的な措置が取られる前に、職員に対して同紙幣を印刷するよう求めた事実はないと強調した。
だが、製版印刷局の職員らが同紙に語ったところによると、同局のパトリシア・ソリメネ局長はこれに抵抗し、ビーチ財務官を含む当局者らに対して法的および手続き上の障壁があると警告していたという。
同紙は、ソリメネ局長がその後、突如として更迭されたと報じている。
こうした懸念にもかかわらず、トランプ政権は文化施設やその他の物品にトランプ氏の肖像や名前を冠する取り組みを推し進めており、トランプ氏に対する「個人崇拝」ではないかとの批判を巻き起こしている。
トランプ氏の支持者で固められた米国美術委員会(CFA)は今年、トランプ氏の肖像が刻まれた記念金貨のデザインを全会一致で承認した。
昨年12月、トランプ氏が任命した首都ワシントンの総合文化施設ケネディ・センターの理事会は「トランプ・ケネディ・センター」への名称変更を決議した。
また、司法省や農務省の庁舎を飾る横断幕にもトランプ氏の肖像が描かれており、国務省によると、近く米国のパスポート(旅券)の一部にもトランプ氏の肖像があしらわれる予定だという。
トランプ氏の肖像があしらわれた250ドル紙幣の発行を認める法案は、昨年議会に提出されたが、審議は停滞している。
民主党はトランプ氏の肖像をあしらった250ドル紙幣の発行を批判している。
上院銀行住宅都市委員会のメンバーであるマーク・ウォーナー上院議員はこの前代未聞の提案について、ホワイトハウスがあからさまに「大統領のエゴをかき立てている」と批判した。【翻訳編集AFPBBNews】